子どもが怒ったり、泣いたり、不安そうにしていたりするとき、「この気持ちをどう言葉にしてあげたらいいんだろう」と迷うことはありませんか。
幼児期の子どもは、自分の中にある気持ちをまだうまく言葉にできないことがあります。
「いや!」と言うけれど、本当は悲しいのか、悔しいのか、寂しいのか、疲れているのか、大人にもわかりにくいことがありますよね。
そんなとき、気持ちや感情を扱う絵本は、親子で「今の気持ち」を話すきっかけになります。
この記事では、気持ちを言葉にする絵本、怒りや不安に向き合う絵本、感情の語彙を増やせる絵本などをまとめます。
気持ちの絵本は、子どもに正しい感情表現を教え込むためのものではありません。
「うれしい」「かなしい」「くやしい」「こわい」「さみしい」などの言葉を、親子で少しずつ共有していくための本として考えると、取り入れやすいと思います。
気持ち・感情を扱う絵本はどんなときに役立つ?
気持ちや感情を扱う絵本は、次のようなときに役立ちます。
- 子どもが自分の気持ちを言葉にできないとき
- 怒りやイライラが強く出やすいとき
- 悲しい・怖い・不安などの気持ちに触れたいとき
- 友だちや家族の気持ちを考えるきっかけがほしいとき
- 物語の登場人物の気持ちを考える練習をしたいとき
小さい子どもにとって、感情は目に見えないものです。
大人でも、自分の気持ちを正確に言葉にするのは難しいことがあります。
子どもならなおさら、「怒っている」と思っていたけれど本当は悲しかった、ということもあるかもしれません。
絵本の中で感情が色や表情、場面として描かれていると、子どもも「こういう気持ちがあるんだ」とイメージしやすくなります。
ただし、絵本を読んだからといって、すぐに気持ちを上手に言えるようになるわけではありません。
気持ちの絵本は、感情をコントロールするための即効薬ではなく、親子で気持ちの言葉を増やしていくためのきっかけとして考えるのがよいと思います。
幼児に気持ちの絵本を選ぶときのポイント
気持ちの絵本といっても、いろいろなタイプがあります。
選ぶときは、子どもの年齢や悩みに合わせて考えると使いやすいです。
気持ちを色や絵でイメージできるもの
まだ感情の言葉が少ない子には、気持ちを色や絵で表現している絵本が使いやすいです。
たとえば、「怒りは赤」「悲しみは青」のように、気持ちを色や形で整理できると、言葉だけで説明するよりわかりやすいことがあります。
自分の気持ちを直接説明するのが難しい子でも、「今は赤い気持ちかも」「青い気持ちだったね」のように話しやすくなります。
怒り・悲しみ・不安など特定の感情を扱うもの
怒りやイライラ、不安、怖さなど、特定の感情で困っているときは、その感情に絞った絵本も候補になります。
ただし、「怒らない子にする」「泣かない子にする」という目的で使うより、
「怒ったとき、どう落ち着けばいいかな」
「怖いとき、どうしたら安心できるかな」
と親子で話す本として使う方が自然です。
気持ちの言葉を増やせるもの
「うれしい」「かなしい」「こわい」だけでなく、「くやしい」「さみしい」「ほっとする」「はずかしい」「うらやましい」など、気持ちの言葉はたくさんあります。
感情の言葉を増やせる絵本は、物語の気持ちを考える土台にもなります。
子どもがすぐに使えなくても、親が読みながら言葉にしていくことで、少しずつ耳に残っていくと思います。
物語を通して登場人物の気持ちを考えられるもの
気持ちを直接説明する絵本だけでなく、物語の中で登場人物の気持ちを考えられる絵本もあります。
「この子は悲しかったのかな」
「お友だちに会えて嬉しかったのかな」
「本当は怒っていたけれど、我慢していたのかな」
というように、絵本の場面を通して話すことができます。
ただし、毎回感想を聞いたり、正解を求めたりすると負担になることもあります。
物語の気持ちの理解については、こちらの記事でも詳しくまとめています。
[内部リンク:物語の気持ちがわからない?幼児の心情理解と絵本の読み聞かせ]
気持ち・感情の絵本を目的別に選ぶなら
まず、目的別に見ると、次のように選ぶとわかりやすいです。
| 悩み・目的 | 向いている絵本 | 特徴 |
|---|---|---|
| 気持ちをざっくり整理したい | カラーモンスター | 感情を色でイメージしやすい |
| 怒り・イライラへの対処を知りたい | おこりたくなったら やってみて! | 怒ったときに落ち着く方法につなげやすい |
| 悲しい・怖い・不安に触れたい | かなしくなったら やってみて!/こわくなったら やってみて! | 扱いにくい気持ちと向き合いやすい |
| 気持ちの言葉を増やしたい | きもちのことばえほん | 感情語を広げやすい |
| 自分と友だちの気持ちを考えたい | やさしくわかる きもちのえほん | 自分・友だち・毎日の気持ちを扱いやすい |
ここからは、それぞれのタイプごとに紹介します。
まず読みたい総合系の感情絵本
カラーモンスター きもちは なにいろ?
気持ちの絵本として、まず候補にしやすいのが『カラーモンスター きもちは なにいろ?』です。
気持ちを色で表現している絵本で、うれしい、かなしい、怒り、不安、おだやかさなど、さまざまな感情をイメージしやすい形で整理できます。
幼児にとって、「今どんな気持ち?」と聞かれても、言葉で答えるのは難しいことがあります。
でも、「今は何色の気持ちかな?」と聞くと、少し答えやすくなる子もいるかもしれません。
たとえば、子どもが泣いているときに、
- 「今は青い気持ちかな」
- 「赤い気持ちも混ざっているのかな」
- 「いろんな気持ちがぐちゃぐちゃになっていたね」
のように話すきっかけになります。
感情を言葉だけで説明するのではなく、色やイメージで捉えられるところが使いやすいです。
通常版のほかに、ポップアップ版もあります。
しかけを楽しみたい子にはポップアップ版、読み聞かせで繰り返し使いたい場合は通常版、という選び方でもよいと思います。
きもち
『きもち』のように、感情そのものをテーマにした絵本も候補になります。
気持ちは目に見えないものなので、子どもに説明しようとすると難しいです。
絵本を通して、「こんな気持ちがあるんだね」「こういうとき、こんなふうに感じることがあるね」と話せると、子どもも少しずつ気持ちの存在に気づきやすくなります。
気持ちの絵本は、読んだあとに感想を聞くよりも、親が自然に言葉にするくらいでよいと思います。
「こういう気持ち、あるよね」
「ママもこういう気持ちになることがあるよ」
と話すだけでも、子どもにとっては感情の言葉に触れる機会になります。
怒り・イライラに向き合う絵本
おこりたくなったら やってみて!
怒りやイライラが強く出る子には、『おこりたくなったら やってみて!』のような絵本も候補になります。
怒りは、子どもにとっても扱いにくい感情です。
怒っている最中に「怒らないで」と言われても、子どもはどうすればよいのかわからないことがあります。
こうした絵本は、「怒ってはいけない」と教えるためではなく、怒りが出たときにどう落ち着くかを親子で話すために使うとよいと思います。
たとえば、読みながら、
- 「怒りたくなること、あるよね」
- 「こういうとき、どうしたら少し落ち着けるかな」
- 「今度イライラしたとき、これをやってみる?」
のように話せます。
大切なのは、怒りをなくすことではありません。
怒りの気持ちに気づき、少しずつ落ち着く方法を知っていくことだと思います。
アンガーマネジメント絵本はどう使う?
アンガーマネジメントというと少し難しく聞こえますが、幼児向けの絵本では、呼吸をする、少し待つ、気持ちを言葉にするなど、子どもにも取り入れやすい形で描かれているものがあります。
ただし、アンガーマネジメント絵本を読むときに気をつけたいのは、怒っている最中に無理やり読ませないことです。
怒りが強いときは、子どもも絵本の内容を受け取る余裕がないことがあります。
落ち着いているときに読んで、
「怒ったとき、こういう方法もあるんだね」
と知っておくくらいが使いやすいです。
実際に怒った場面では、あとから落ち着いたときに、
「さっきは赤い気持ちだったね」
「あの絵本みたいに、ふーっとしてみる?」
とつなげる方が自然だと思います。
悲しい・怖い・不安な気持ちを扱う絵本
かなしくなったら やってみて!
悲しい気持ちを扱う絵本は、子どもが泣いたり落ち込んだりしたときの声かけにもつながります。
子どもが泣いているとき、大人はつい「泣かないで」「大丈夫だよ」と言いたくなります。
でも、子どもにとっては、まず「悲しかったんだね」と受け止めてもらうことが大切な場合もあります。
悲しい気持ちを扱う絵本を読むと、
- 「悲しい気持ちってあるよね」
- 「泣きたくなることもあるよね」
- 「悲しいとき、どうしたら少し楽になるかな」
と話しやすくなります。
悲しみをすぐに消そうとするのではなく、悲しい気持ちがあることを認めるきっかけになると思います。
こわくなったら やってみて!
怖い気持ちや不安を扱う絵本も、幼児期には使いやすいです。
子どもは、大人から見ると小さなことでも怖がることがあります。
暗い部屋、初めての場所、大きな音、知らない人、園での出来事など、子どもなりに不安を感じる場面はたくさんあります。
怖い気持ちを扱う絵本は、
- 「怖いと思ってもいいんだね」
- 「怖いとき、体はどんな感じになるかな」
- 「安心するにはどうしたらいいかな」
と話すきっかけになります。
怖がることを否定するのではなく、怖い気持ちとどう付き合うかを一緒に考える本として使うとよいと思います。
気持ちの言葉を増やせる絵本
きもちのことばえほん
気持ちの語彙を増やしたい場合は、『きもちのことばえほん』のような本も候補になります。
子どもは、「いや」「だめ」「うれしい」「かなしい」などの言葉は使えても、もう少し細かい気持ちを言葉にするのは難しいことがあります。
たとえば、
- くやしい
- さみしい
- はずかしい
- ほっとする
- うらやましい
- 心配
- 得意
- 申し訳ない
などは、経験と言葉が結びついて、少しずつ使えるようになっていくものだと思います。
気持ちの言葉を扱う本は、辞書のように全部覚えさせる必要はありません。
親がページを見ながら、
「これ、今日の気持ちに近い?」
「この顔、ちょっと悔しそうだね」
「ママはこういうとき、ほっとするかな」
のように話すと、日常の気持ちとつながりやすくなります。
やさしくわかる きもちのえほん
自分の気持ちだけでなく、友だちや家族の気持ちにも触れたい場合は、『やさしくわかる きもちのえほん』のようなシリーズも候補になります。
幼児期は、自分の気持ちを言葉にすることも、相手の気持ちを想像することも、まだ発達の途中です。
「自分は楽しかったけれど、相手は嫌だったかもしれない」
「自分は平気だけれど、お友だちは怖かったのかもしれない」
というように、人によって感じ方が違うことに少しずつ触れていけるとよいと思います。
ただし、小さい子に相手の気持ちばかり考えさせすぎる必要はありません。
まずは、
- 自分の気持ちに気づく
- 気持ちを言葉にする
- 相手にも気持ちがあると知る
くらいの順番で考えると無理がありません。
友だちや家族の気持ちに気づく絵本
感情の絵本には、自分の気持ちだけでなく、友だちや家族の気持ちに気づくきっかけになるものもあります。
友だちとけんかしたとき、きょうだいと取り合いになったとき、親に叱られたときなど、子どもはさまざまな気持ちを経験します。
絵本の中で似たような場面が出てくると、
「この子、悔しかったのかな」
「お友だちは悲しかったのかもしれないね」
「本当は一緒に遊びたかったのかな」
と話しやすくなります。
ここでも大切なのは、子どもに正解を言わせようとしないことです。
相手の気持ちを考えることは大事ですが、「こう思わなければいけない」と決めつけると苦しくなります。
親が一つの見方として、
「ママは、少し寂しかったのかなと思ったよ」
「もしかしたら、びっくりしたのかもしれないね」
と話すくらいが自然だと思います。
物語の気持ちがわからない子にも使いやすい?
物語の絵本を読んだあとに、「この子はどう思ったのかな?」と聞いても、子どもが「わからない」と答えることがあります。
その場合、気持ちの絵本を読むことで、すぐに物語理解が深まるわけではありません。
ただ、気持ちの言葉を知っていると、物語の登場人物の気持ちを考えるときの助けになることがあります。
たとえば、気持ちの言葉が「うれしい」「かなしい」だけだと、細かい心情を表現しにくいです。
でも、
- くやしい
- さみしい
- はずかしい
- ほっとした
- 心配
- がっかり
といった言葉に触れていると、登場人物の気持ちも少し考えやすくなります。
ただし、絵本のたびに「この子はどういう気持ち?」と聞きすぎると、子どもにとって負担になることもあります。
感情の絵本は、物語読解のトレーニングというより、日常の気持ちを話しやすくする本として使うのがよいと思います。
物語の気持ちの理解については、こちらの記事でもまとめています。

気持ちの絵本を読むときの注意点
無理に感想を聞かない
気持ちの絵本を読むと、つい「あなたはどう思った?」「こういうときはどうする?」と聞きたくなることがあります。
もちろん、親子の会話として自然に話すのはよいと思います。
ただし、毎回質問されると、子どもによってはテストのように感じることがあります。
子どもが答えたがらないときは、無理に聞かなくても大丈夫です。
親が、
「こういう気持ちもあるんだね」
「ママはこの気持ち、わかるな」
と話すだけでも、十分に気持ちの言葉に触れられます。
「こう感じるべき」と決めつけない
同じ出来事でも、人によって感じ方は違います。
親が「この場面は悲しいよね」と思っても、子どもは「びっくりした」と感じるかもしれません。
気持ちの絵本を読むときは、「このときはこう感じるのが正解」と決めつけすぎない方がよいと思います。
子どもが違う答えをしたときは、
「そう感じたんだね」
「たしかに、そうも見えるね」
と受け止めたうえで、
「ママは少し寂しい気持ちかなと思ったよ」
と親の感じ方を足すくらいでよいのではないでしょうか。
日常生活の気持ちの言葉とつなげる
気持ちの絵本は、読んで終わりではなく、日常生活の中で使うとより自然です。
たとえば、子どもがうまくできなくて泣いたときに、
「悔しかったね」
「できると思ったのに、できなくて悲しかったのかな」
と声をかける。
初めての場所で不安そうにしているときに、
「ちょっと心配だったね」
「知らない場所でドキドキしたね」
と言葉にする。
こうした日常の声かけが、絵本で見た気持ちと言葉をつなげることにもなります。
絵本だけで完結させようとせず、生活の中で少しずつ気持ちの言葉を使っていくとよいと思います。
気持ちの絵本は何歳から使える?
気持ちの絵本は、早ければ2歳ごろから親子で眺めることもできます。
ただし、年齢によって楽しみ方は変わります。
| 年齢 | 楽しみ方 | 選び方 |
|---|---|---|
| 2歳ごろ | 表情や色を見て楽しむ | 絵がわかりやすく、言葉が少なめのもの |
| 3歳ごろ | うれしい・かなしい・こわいなどを話す | 基本的な感情を扱う絵本 |
| 4〜5歳ごろ | 怒り・悔しい・不安などにも触れる | 感情の種類が少し広がる本 |
| 年長〜小学生 | 相手の気持ちや複雑な感情を考える | 気持ちの言葉が多い本、物語絵本 |
もちろん、これはあくまで目安です。
小さい子でも感情の絵本が好きな子もいますし、大きくなってから気持ちの言葉に興味を持つ子もいます。
年齢よりも、子どもが今どんな気持ちに関心を持っているか、どんな場面で困っているかを見て選ぶとよいと思います。
まとめ:気持ちの絵本は、親子で感情を話すきっかけになる
気持ちや感情を扱う絵本は、子どもに感情を教え込むためのものではなく、親子で気持ちを話すきっかけになる本です。
『カラーモンスター』のように感情を色でイメージできる本、怒りや不安に向き合う本、気持ちの言葉を増やせる本など、いろいろなタイプがあります。
怒りや悲しみ、不安は、悪い感情ではありません。
子どもが自分の気持ちに気づき、少しずつ言葉にしていけるように、絵本を使って親子で話せるとよいと思います。
読むときは、無理に感想を聞かなくても大丈夫です。
「こう感じるべき」と決めつけず、親が自然に気持ちの言葉を使うだけでも、子どもにとっては大切な経験になります。
絵本の中の気持ちと、日常生活の中の気持ちが少しずつつながっていくとよいですね。

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