「3歳までに絵本1万冊」という言葉を、知育や読み聞かせについて調べていると見かけることがあります。
これは、くもんの「うた200、読み聞かせ1万、賢い子」というスローガンでも知られている考え方です。
また、お子さんを4人東大に進学させた佐藤亮子さん、いわゆる佐藤ママが実践していたこととしても話題になりました。
では、実際に3歳までに絵本を1万冊読むには、1日何冊読めばいいのでしょうか。
結論からいうと、0歳から3歳の誕生日までに1万冊を目指す場合、1日あたり約9〜10冊読む計算になります。
ただし、これはあくまで計算上の目安です。
毎日10冊読まなければいけない、という意味ではありません。
実際には、子どもの年齢や性格、親の時間、絵本の長さによって、読みやすい冊数はかなり変わります。
3歳までに1万冊読む場合の計算
0歳から3歳の誕生日までを約3年間と考えると、日数はおよそ1095日です。
1万冊を1095日で割ると、1日あたり約9.1冊。
つまり、0歳から始めるなら、1日9〜10冊ほど読むと3歳までに1万冊に届く計算になります。
始める時期ごとの目安は、以下のようになります。
| 始める時期 | 3歳までの日数の目安 | 1日あたりの冊数 |
|---|---|---|
| 0歳から | 約1095日 | 約9.1冊 |
| 1歳から | 約730日 | 約13.7冊 |
| 2歳から | 約365日 | 約27.4冊 |
2歳から1万冊を目指そうとすると、1日あたり約27冊になります。
かなり多く感じる方も多いのではないでしょうか。
そのため、「3歳までに1万冊」は、途中から厳密に達成しようとすると負担になりやすい数字です。
個人的には、1万冊という数字はノルマではなく、絵本にたくさん触れるための目安として考えるのがよいと思います。
同じ絵本を繰り返し読んでも1冊に数えていい?
「絵本1万冊」と聞くと、違う絵本を1万冊用意しなければいけないのかと思うかもしれません。
ですが、家庭での読み聞かせとして考えるなら、同じ絵本を繰り返し読んだ分も、1回の読み聞かせとして数えてよいと思います。
たとえば、同じ絵本を1日に3回読んだら、読み聞かせの回数としては3回です。
子どもは、気に入った絵本を何度も読みたがることがあります。
親からすると「またこの本?」と思うこともありますが、子どもにとっては、同じ展開を何度も楽しむこと自体に意味があるのかもしれません。
お気に入りのフレーズを覚えたり、次に何が起きるかを楽しみにしたり、安心して物語の世界に入れたりすることもあります。
なので、1万冊を目指す場合も、
「違う本をどれだけ読んだか」だけでなく、「絵本を読む時間をどれだけ積み重ねたか」
と考えると、続けやすくなります。
実際には1日何冊くらい読んでいる家庭が多い?
では、実際に1日何冊くらい絵本を読んでいる家庭が多いのでしょうか。
以前、読み聞かせ冊数についてアンケートを取ったところ、5冊以下の家庭が半数以上という結果になりました。
1回目のアンケート結果
| 1日の読み聞かせ冊数 | 割合 | 人数 |
|---|---|---|
| 1〜2冊 | 28.5% | 74人 |
| 3〜5冊 | 33.1% | 86人 |
| 6〜10冊 | 23.1% | 60人 |
| 11冊以上 | 15.4% | 40人 |
| 合計 | 100% | 260人 |
2回目のアンケート結果
| 1日の読み聞かせ冊数 | 割合 | 人数 |
|---|---|---|
| 0〜5冊 | 57.4% | 66人 |
| 6〜10冊 | 29.6% | 34人 |
| 15〜20冊 | 10.4% | 12人 |
| 21冊以上 | 2.6% | 3人 |
| 合計 | 100% | 115人 |
アンケートに答えてくださった方は、知育や絵本の読み聞かせに関心が高い方が多かったと思います。
それでも、1日に10冊以上読んでいる家庭は少数派でした。
「3歳までに1万冊」と聞くと、1日10冊がひとつの目安になります。
ただ、実際には毎日10冊以上読む家庭ばかりではありません。
特に2歳、3歳に近づいてくると、1冊あたりの文章量が増えたり、子ども自身のやりたい遊びが増えたりして、冊数だけを増やすのは難しくなることもあります。
赤ちゃん・0歳の絵本は何冊くらい読む?
0歳のころは、1冊あたりの文章が短い絵本が多いです。
そのため、機嫌がよいタイミングであれば、1日に何冊か読むことは比較的しやすい時期かもしれません。
0歳の絵本は、ストーリーを理解するというよりも、
- 親の声を聞く
- 絵を見る
- 音やリズムを楽しむ
- 絵本をめくることに慣れる
という意味合いが大きいと思います。
この時期は、短い絵本を何冊も読むのもよいですし、同じ絵本を何度も読むのもよいです。
無理に冊数を増やすより、授乳後、寝る前、機嫌のよい時間など、生活の中に少しずつ絵本を入れていく方が続けやすいです。
1歳・2歳の絵本は何冊くらい読む?
1歳、2歳になると、子どもの好みがだんだん出てきます。
同じ絵本を何度も持ってきたり、特定のページばかり見たがったり、途中で別の遊びに移ったりすることもあります。
この時期は、親が「今日は何冊読む」と決めるよりも、子どもの様子に合わせた方が続けやすいです。
たとえば、
- 寝る前に2〜3冊読む
- 日中に子どもが持ってきたら読む
- 図書館で借りた本を少しずつ試す
- 気に入った本は何度も読む
という形でも、十分に絵本に触れる機会は作れます。
2歳ごろになると、好きなテーマもはっきりしてきます。
乗り物、食べ物、動物、生活習慣、赤ちゃん、パン、おにぎり、お弁当など、そのとき子どもが興味を持っているものに合わせて選ぶと、読み聞かせがしやすくなります。
絵本は多種類読む?同じ本を繰り返し読む?
絵本の読み聞かせでは、
「いろいろな本を読んだ方がいいのか」
「同じ本を何度も読んだ方がいいのか」
迷う方もいると思います。
以前アンケートを取ったところ、同じ絵本を繰り返し読むことを重視している方が多い結果になりました。
選択肢は以下の2つです。
- とにかく一度ずつ多種類の本を読む
- 種類数にこだわらず、子どもが満足するまで同じ絵本を繰り返し読む
結果は、総得票数163票のうち、73%の方が「繰り返し読む」派でした。
一方で、「多種類読む」派は7.4%でした。
もちろん、どちらが正解というわけではありません。
多種類の絵本を読むと、いろいろな言葉、絵柄、テーマ、文体に触れられます。
一方で、同じ絵本を繰り返し読むと、子どもが内容を覚えたり、安心して楽しんだりしやすい面があります。
家庭で続けるなら、個人的には、
図書館などで新しい本を試す
気に入った本は家で何度も読む
という組み合わせが現実的だと思います。
3歳までに1万冊読むなら、絵本は家に何冊必要?
「絵本1万冊」と聞くと、家にたくさん絵本を買わなければいけないのかと思うかもしれません。
ですが、1万冊を目指す場合でも、家に1万冊分の絵本を用意する必要はありません。
同じ絵本を繰り返し読むこともありますし、図書館を使えば、たくさんの絵本に触れることができます。
我が家でも、図書館で借りてみて、子どもが何度も読みたがった本を購入するという流れは使いやすいと感じました。
絵本をすべて買おうとすると、収納場所もお金も必要になります。
そのため、
- 繰り返し読むお気に入りの本は買う
- 初めて読む本は図書館で試す
- 季節ものや一時的な興味の本は借りる
- 寝る前によく読む本は手元に置く
- 図鑑は購入する
という分け方をすると、無理なく続けやすいです。

読み聞かせを続けた子にはどんな変化があった?
1万冊以上の読み聞かせをしてきた方に聞くと、以下のような声がありました。
- 本が好きになった
- 語彙が増えたと感じる
- 文字への興味が出た
- 記憶力がよいと感じる
- 集中して聞けるようになった
特に多かったのは、本が好きという声です。
ただし、これは
「たくさん読んだから本好きになった」のか、
「もともと本が好きだったからたくさん読めた」のか、
はっきり分けるのは難しいところです。
また、絵本をたくさん読めば必ず語彙が増える、文字が読めるようになる、というものでもないと思います。
ここでは、あくまで読み聞かせを続けてきた家庭で感じた変化として紹介します。
語彙が増えたと感じる声
読み聞かせを続けてきた家庭からは、語彙について次のような声がありました。
- 同年代に比べて語彙が豊富だと言われる
- 同じ月齢の子と比べると、言葉が早く表現も豊かに感じる
- 男の子の中では語彙が多いと言われる
絵本には、日常会話だけでは出てこない言葉もたくさん出てきます。
食べ物、動物、乗り物、季節、気持ち、音、色、数など、さまざまな言葉に自然に触れられるのは、読み聞かせのよいところだと思います。
文字への興味が出たという声
文字については、次のような声もありました。
- あいうえお絵本などを通じて、自然と文字が読めるようになった
- 教えていない漢字も読むことができるようになった
- タイトルを覚えて、自分で絵本を選べるようになった
ただし、読み聞かせの目的を「早く文字を読ませること」にしすぎると、親子ともに疲れてしまうかもしれません。
文字を覚えることよりも、まずは絵本を楽しむこと。
その延長で、文字や言葉に興味が出てきたらよい、くらいに考えると気持ちが楽です。
記憶力や集中力について感じた声
記憶力については、次のような声がありました。
- 好きな本のフレーズをずっと覚えている
- 一度読んだ絵本のタイトルやあらすじを覚えている
- 字は読めなくても、タイトルを伝えるとその絵本を取り出せる
- 好きな本を丸暗記している
また、集中力についても、
- 集中力があると言われる
- 最後まで絵本を聞けるようになった
という声がありました。
とはいえ、読み聞かせの反応は子どもによってかなり違います。
じっと聞く子もいれば、動きながら聞く子もいます。
最後まで聞かずにページを飛ばしたがる子もいます。
絵本を読んでいるときに座っていないから意味がない、ということではないと思います。
子どものペースに合わせながら、無理なく続けられる形を探していくのがよさそうです。
目に見える効果を感じない場合もある
一方で、1万冊近く読んだからといって、すぐに目に見える変化が出るとは限りません。
実際に、
- 今のところ特に目立つことはない
- 話すのが早いわけではない
- 語彙が特別多いとは感じない
という声もありました。
これはとても自然なことだと思います。
子どもの発達には個人差がありますし、絵本の影響だけで何かが決まるわけではありません。
読み聞かせは、すぐに成果を出すためのものというより、親子で言葉や物語に触れる時間を積み重ねるものだと考えた方が、続けやすいと思います。
1万冊にこだわりすぎず、読み聞かせを続けるコツ
3歳までに1万冊という数字は、読み聞かせのきっかけとしては分かりやすいです。
ただ、数字にこだわりすぎると、絵本の時間が負担になってしまうこともあります。
無理なく続けるためには、次のような考え方がおすすめです。
短い絵本でもよい
0歳、1歳向けの短い絵本でも、立派な読み聞かせです。
1冊の長さよりも、子どもが楽しめるか、親が無理なく読めるかを大切にした方が続きます。
同じ本を何度読んでもよい
子どもが気に入っているなら、同じ本を何度読んでもよいと思います。
何度も読む中で、フレーズを覚えたり、絵の細かい部分に気づいたりすることもあります。
読めない日があってもよい
体調が悪い日、忙しい日、親が疲れている日もあります。
毎日読めなかったからといって、読み聞かせが無駄になるわけではありません。
「今日は1冊だけ」「今日はお休み」でも大丈夫です。
図書館と購入を使い分ける
たくさんの絵本に触れたいなら、図書館はとても便利です。
一方で、子どもが何度も読みたがる本は、家にあると読み聞かせしやすくなります。
借りる本と買う本を分けると、絵本の冊数を増やしつつ、負担も抑えやすいです。
まとめ:3歳までに絵本1万冊は「目安」として考える
3歳までに絵本1万冊を読むには、0歳から始めた場合、1日約9〜10冊読む計算になります。
ただし、実際のアンケートでは、1日5冊以下の家庭も多く、10冊以上読んでいる家庭は少数派でした。
1万冊という数字は、読み聞かせを続けるための分かりやすい目安です。
ですが、必ず達成しなければいけないノルマではありません。
同じ絵本を繰り返し読んでもよいですし、図書館を使っていろいろな本に触れるのもよいと思います。
大切なのは、冊数そのものよりも、子どもが絵本に親しむ時間を無理なく続けること。
親子で楽しめる範囲で、日々の生活に絵本を取り入れていけるとよいですね。

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